熱力学 ( 10002 (11489))　

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講義の目標

• 熱力学第一法則，第二法則と，これらの法則から従う基礎的結果の理解
• エントロピーの定義，性質に関する基礎的な事柄の理解
• 熱力学的（物理的）な考え方の体得

教科書・演習書

1. フェルミ熱力学 エンリコ・フェルミ (加藤 正昭訳) 三省堂 (1973)
2. 熱・統計力学 (物理入門コース７) 戸田 盛和 岩波書店 (1983)
3. 基礎から学ぶ熱力学 大野 公一 岩波書店 (2001)
4. 大学演習 熱学・統計力学 久保 亮五編 裳華房 (1998)
5. 熱学演習-- 熱力学, 原島 鮮著, 裳華房 (1979)

参考書・副読本

1. 物理学とは何だろうか (上, 下), 朝永振一郎, 岩波書店（岩波新書）
2. 原子, ジャン・ペラン著, 岩波書店（岩波文庫）
3. マクロな体系の論理, 吉岡大二郎, 岩波書店（岩波講座, 物理の世界, 統計力学２）
4. 熱力学入門, 佐々真一, 共立出版
5. 熱力学の基礎, 清水明, 東京大学出版
6. 熱力学 --現代的視点から--, 田崎晴明, 培風館

講義内容

　0. はじめに

1. 熱平衡状態 [まとめ, 例題1, 演習1]
   1. 平衡状態，状態量，状態方程式, 気体温度計による絶対温度
2. 熱力学的な過程 [まとめ, 例題2, 演習2]
   1. 緩和過程と不可逆性，サイクル，準静的過程，状態量の変化
3. 熱と仕事 [まとめ]
   1. 熱量Qと比熱，熱の仕事当量{ジュールの実験１}
   2. 仕事Wと圧力
   3. 理想気体の自由膨張におけるQとW {ジュールの実験２}
4. 熱力学第一法則[まとめ, 例題4A,4B, 演習3,4]
   1. 熱の普遍性
   2. 第一法則
   3. 理想気体への適用(マイヤーの関係式，準静的等温過程における Q, 断熱曲線)
   4. 内部エネルギーの存在，第一法則の数学的表現(積分可能性)，比熱(正定値性)
5. 熱力学第二法則 [まとめ, 例題5A, 5B, 5C, 演習5]
   1. 熱の特殊性(熱機関の効率の上限，不可逆性)
   2. 第二法則(Thomsonの原理，Clausiusの原理)
   3. Carnotの定理(可逆機関，カルノーサイクル)
   4. 熱力学的絶対温度
6. エントロピーと不可逆性[まとめ, 例題6A,6B]
   1. Clausiusの不等式 (連続極限)
   2. エントロピーの定義
   3. エントロピー増大則
7. 熱力学的関係式[まとめ, 例題7A,7B, 演習7]
   1. 熱力学の基本方程式
   2. 積分可能性からの帰結：マックスウェルの関係式
   3. 物質量と化学ポテンシャル
8. 自由エネルギー[まとめ, 例題8, 演習8]
   1. Helmholtzの自由エネルギー, Gibbsの自由エネルギー, Gibbs-Duheim 関係式
   2. 平衡条件, 変分原理, 変化の向き, つりあいの条件
9. 応用 [まとめ, 例題9, 演習9]
   1. バネとゴム
   2. 理想混合気体, 混合エントロピー
   3. 気体の性質, 液化, 飽和蒸気圧
   4. 相平衡, Clausius-Clapeyron 関係式, Maxwell の規則, Gibbs の相律
   5. 希薄溶液, 浸透圧, 沸点上昇
   6. 化学平衡の条件
   7. 磁性体
   8. 黒体輻射
   9. 宇宙論
10. 分子運動論, 等確率の原理, ゆらぎ

レポート課題と解答例

試験について

　試験範囲は６章まで．

夏休みにおすすめの本

1. Statistical physics (berkeley physics course - vol. 5) , F. Reif, McGraw-Hill